「月の子」
清水玲子「月の子」全8巻(白泉社文庫)を読みました。先日、劇団Studio Lifeで再演された同作品をシアタードラマシティに観に行ったからです。Studio Lifeが上演した「月の子」は初演の大阪公演も観たのですが、そのときは舞台の幻想的な雰囲気は素敵だと思いつつも(原作を読んでいなかったせいもあって)話が複雑でよくわからないと感じたものでした。今年の再演を観るにあたって先に原作を読むつもりで準備していたのですが、出張などでやっぱり手を付けることが出来ませんでした。再演は初演での物語の視点から少し変えて、幻想的な雰囲気はそのままにとても分かりやすく美しく作り上げられていて感動的でした。
お芝居では時間の制限もあるため原作全てのエピソードが盛り込まれている訳ではありませんでした。原作では、きめ細かいエピソードが積み上げられて不思議でかなしい物語世界が作り上げられています。視覚で楽しめるというところが漫画のいいところですね。現実にあったチェルノブイリの原発事故などと、アンデルセンの「人魚姫」がモチーフになっています。
自分で手を下さずに行われている環境破壊の結果もたらされる文明の恩恵を受けながら、環境破壊をただ避難するだけの「正義の」人たちは、ティルトの悲しい物語を読むとよいと思います(自戒もあります)。
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